『篝火の集い』後書き



『篝火の集い』後書き
 
 この小説は半分本当のお話です。寛太もほぼ自分がモデルなんです、お恥ずかしながら。私は作中の三又小学校という廃校になってしまった学校で六年間過ごしてきました。この学校には大変よい思い出があるわけですが、今考えると篝火の集いのようにへんてこな行事がたくさんあった学校でした。つまりすごく思いいれがあるわけです。あれも書きたいこれも書きたい、あの風景も描写したいなんて思いながらわがままで描いたので、後で読み返すと実にすっきりしていない。でもそれでもやりたかったんです。

 篝火の集いなんて誰が考え出したのでしょう? 実に独創的な行事ですよね。最高学年の生徒が白装束で登場し、篝火に誓いを述べる。私も六年生のころにやった記憶があります。確か泉と同じ「奉仕の火」を担当しました。実は他の誓いの火は覚えてなくて、作中の誓いの火はほぼ想像で書きました。けれど内容はだいたいあってると思います。

 小学生のころに大人公認で夜に火遊びができるというのは、とっても面白いことでした。火を見ているとわくわくして、なんだか走り回りたくなる。でも少し寂しくもなるような不思議な感覚です。もちろん普段と違う雰囲気の夜の校舎やグランドで、誰か女の子と仲良くなれないかなーなんて考えたりもしました。そんなたくさんの曖昧な気持ちが混ざり合った時間だったのです。
 
 北斗七星も篝火の集いの時に、一つ上の女の子に教えてもらって初めてわかったんです。本当にひしゃくの形をしていたのでびっくりした記憶があります。今でもあのときの感動というか、雰囲気を忘れることはできません。少し寒くなった秋口に、あの北斗七星は実にくっきりと存在していました。
 
 小説中ではたくさんのことを書きすぎてごちゃごちゃしてしまっていますが、これからも少しずつ書き直したり加筆していきたい作品なので長い目で見ていただければ幸いです。
 
 樹

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